先週,春分の日の連休に,趣味の登山で大千軒岳に行ってきました。

#写真:大千軒岳へ向かう途中,雪解けの知内川。木々は芽吹く一歩手前。樹冠がほんのり色づいています。
[大千軒岳周辺の地図]
【注意】まだまだ山の上は冬です。登山には十分な準備と装備,技術,体力が必要です。
登山は無理のない計画を立て,リスクは自身で受け入れてください。
私(=コーディネーターの金森)の前職は雪氷学の研究者でした。
私を科学の世界に呼び込んだ,雪山でみられる様々な自然現象をご紹介します。
川岸の林道を歩いていると,目の前に飛び込んできたのはキツツキの穴だらけとなった枯れ木。
枯れ木も山のにぎわいと言いますが,単なるにぎわいではなく,虫を育み,それをキツツキがついばむという生態系の中での役割を想像してしまいます。
#こういう分野のことを学んでみたい人は森林+生態系のようなキーワードで検索してみるとよいかも知れません。
同時に,穴のあいた木の造形美,朽ちてもすらっと立ち続ける姿もいいなあと思います。
#共感して下さる方には砂澤ビッキの作品がおすすめです。
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尾根の上にあがるとまだまだ雪世界。
ですが,斜面にはところどころ亀裂が走って地面が見えています。
地面と積雪の間で滑って雪崩れる全層雪崩の前兆現象です。
よくみてみると,亀裂が入った下の斜面には木が生えていません。
典型的な雪崩地形です。
#雪崩についてもっと詳しく知りたい方は雪崩の基礎@日本雪崩ネットワークが参考になります。

別のところに入った亀裂を間近でみてみました。
断面が層構造になっています。
層構造を詳しく調べると,雪の堆積過程を推理することが出来ます。
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尾根のすぐ右側に影が出来ています。
雪が張り出す,雪庇(せっぴ)が発達しているからです。
この周辺では左側から右側に向けて強い風が吹いていることが推測できます。
実際,左が西側,右が東側なので,冬の季節風の方向とぴったり一致します。
雪庇の造形は美しいのですが,うっかり上に乗っかると雪庇ごと転落してしまう危険もあります。
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大千軒岳に近づいてきました。
尾根の左側が茶色く,雪がついていません。きっと,強い風に吹き飛ばされたのでしょう。
植物にとって,雪は布団の役割をします。雪の下では温度が0度付近に保たれ,土も凍りません。
その雪が積もっていないということは,尾根の左側は土の中も含めて特に厳しい寒さにさらされているはずです。初夏に咲き乱れる高山植物はこのような厳しい環境で生育しています。
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大千軒岳山頂にある,北海道最古の三角点です。
山頂にあったプレートによると,1896年7月に設置されたとのこと。
日本の地図は全国各地に設置された三角点を基準とした測量により整備されました。
この標石,柱石だけで90kgあるそうです。運びあげた労力,すごいです。
#三角点については,等三角点を散歩する@国土地理院が面白いです。
#余談ですが,山岳測量の苦労譚,新田次郎の小説「剣岳点の記」の映画が今年公開されます。
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下りの斜面は強風に磨かれたウインドクラストでした。
前,函館山の話のときにも触れましたが,光の路,フレネル反射がみられます。
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標高が高いところではまだまだ沢中に雪が詰まっていました。
1枚目の写真と比べると差が顕著です。
ちょっとの標高差で劇的に状況が違うのが雪山の面白いところ。
雪は0度を越えると融けだすので,標高差によるちょっとの温度差でも大きく環境が違うのです。
#こういった雪融けの差には,標高差による温度の違いの他,積雪量の違いや日の当たり方の違いも効いている可能性があります。単純でないところもまた面白いです。
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翌朝の日の出。
春分の日の連休だったので,昼と夜の長さはほとんど一緒なのかな,
と思っていたのですが,実は春分の日は昼の方ちょっぴり長いそうです。
ちなみに赤くなるのは夕焼けと同じ原理です。
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撮って来た写真に,科学に関係のある一言解説を加えてみましたが,いかがだったでしょうか。
実際の登山の最中はこんなことばかり考えているわけではなく,科学ネタのために写真を撮っているわけでもないのですが,意外と色々出てくるものです
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最後にもう一度,ご注意を。
雪山は美しいですが,雪山登山には大変な危険が伴います。
十分な準備をして,自己責任でお願いします。

